この話も、まとめておこうと思います。本当はDRMの話を本題にしたかったのですが、その話の前にまず、この四半世紀の間にオタクがTV放送(おもにアニメ)を録画する手段が「DVD録画」から「ブルーレイ録画」になり、そして滅びた歴史をまとめておいたほうが良さそうなので、そうすることにします。
ブルーレイディスクの衰退
きっかけは、X経由でITMediaNewsの小寺信良氏のこの記事を見たことでした。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2512/24/news113.html#utm_term=share_sp
この記事、後で述べるように決定的に間違っている分析はあるものの、放送局の納品メディアの話などは自分もあまり認識しておらず「へえ」な話もあったので、まずはご一読されるのも良いのではないかと思います。
録画メディア変遷への歴史認識
ブルーレイに先立つDVD時代の録画メディアの乱立についても、この小寺氏の記事は、まあまあたぶん事実。
HD-DVDがコケタという事実と、ブルーレイが一時覇権を握ったという点についても、まあまあ事実。
ただ当時RD-XシリーズでDVD-RAMに録画しまくっていた自分としては、繰り返し録画が可能なDVD-RAMと、ライトワンスのDVD-Rとでは根本的に使い方が違うものなので、それを一緒くたにしてこんな書かれ方(↓)をされると「このひとは当時からTV番組を録画しまくっていたオタクの人ではないみたいですね」という感想も出て、割ともにょったんですが。

とはいうものの正直なところ、繰り返し書き込み可能なBD-REメディアや当時のDVD-RAMに対しても「保存」ではなく「焼く」とかいう表現を使っちゃう人はいまでも珍しくないので、DVD-RやBD-Rの「1回しか書けない」という特性や、DVD-RAMやBD-REの「何度でも書ける」特性をそれほど意識しないで使っているひとも案外と録画オタクの中でも多数で、DVD-Rは「ただのDVD-RAMよりも安価な録画メディア」という認識だけの人が多数派なのかもしれません。
実のところ当時の自分も、「この録画した番組は不要になったからDVD-RAMを消去して再利用しよう」などということは滅多にやらず、たいていは1回番組を保存したらそれは棚に入れて保管して未使用のDVD-RAMをじゃんじゃん買い足して録画保存していた(だから自宅のDVD-RAMが何百何千枚にもなった)ので、実はDVD-Rに録画するほうが安上がりだったかも…とは今は思いますが。まあ東芝RD-Xシリーズを使っていた人なら「編集して保存」が基本なので、DVD-RAMがメインになるのも必然だったのですが。
DVD録画の話でなく本題のブルーレイ録画の話に戻しますけど(笑)、小寺氏の記事は続いて、2008年にHD-DVDが負けて市場がブルーレイ1本で統一されたので、以後は録画・再生メディアはブルーレイが制した、という話に続きます。これも正しい事実認識であると思いますし、正直自分も「HD-DVDを推していた人には悪いけど、HD-DVDが潰れてくれて本当に良かった」と当時も今も思ってます。両者が争い続けていたら、ブルーレイは今より普及していなかったのも明白なので。
ただ、ここまでは良かったんですが、小寺氏の記事、ここからはダメ。
このJEITAの出荷台数を整理してくれたのは良いのですが、この分析は零点でしょう。

おそらく当時、RD-XやブルーレイレコーダーでTV番組をせっせと録画していたオタクのひとであれば3Dブームって何ですかで終わる話でもあるんですが、この「2011年にブルーレイレコーダーが急激に伸びた」理由は、3Dブームなどではなく、当時TVを録画していた人であれば誰でも知っていた事実だとしか言いようがないんです。
正直、マジで小寺氏はアレをもう忘れたんですか?なレベルの話なんですが…。
もったいをつけても仕方ありませんので言えば「2011年にブルーレイレコーダーの需要が急激に伸びた」理由なんてのは、テレビの「地上波がアナログ放送を停波して地デジになったから」に決まってるじゃないですか。こんなの多分、議論の余地なんてないし、何かの議論が必要な話だとも思えないのですが…。
単純な事実が示すように、日本のテレビのアナログ放送の停波は2011年7月24日に基本的には全国で一斉に実施され、以後はぼくらがそれまで使用していたアナログ放送のレコーダーではいっさいのテレビ放送の受信ができなくなりました。
そして2010年頃(だったかな)からは、アナログ放送の画面には「ご覧のアナログ放送は2011年7月24日に終了します」とテロップが入るようになりました。
だから当時、特にRD-Xでアナログ放送のテレビ番組をせっせと録画していたオタクなどは、録画した番組をチェックする都度「2011年7月24日でいまのDVDレコーダーは使えなくなるのだから、それまでに地デジを受信・録画できる環境を新調しなくちゃね…」という選択をしなければならなかったし、アナログ停波前にすでに「地デジ」放送はスタートしていたわけですので、これは地デジのアンテナなどを設置したうえでブルーレイレコーダーを購入し、録画した番組をDVD-RAMやDVD-RではなくBD-REやBD-Rのメディアを購入して保存するようにするだけで、移行は完了したし、実のところこれは「録画した番組がSD画質でなくHD画質になる」ことを意味してもいた(ついでに煩い停波アナウンスのテロップはない)ので、基本的には2011年7月24日まではブルーレイレコーダーの需要は爆増し、かつユーザーが買い替えを終えた2011年7月24日以降は需要が急速に落ちたというだけの話ですね。これだけの話。なんの疑問もない話だと思います。
だから小寺氏は、当時せっせとテレビアニメなどを録画していた「こっち側」の人間ではなかったんだろうな…としか言えません。
実のところ地デジ対応のレコーダーで録画したコンテンツをブルーレイディスクでなくDVDディスクに録画することは可能なので、もしかしたらしばらくは「地デジをDVDに保存した」方もいらっしゃったかもしれません。でもこれ、やれば分かる話なのですがDVDの容量は4.6GBでブルーレイディスクの容量は25GB~であり、HD画質で録画するとビットレートを極端に落としでもしない限り「30分番組で1GBを超える」くらいにはなるので、無理にアニメ1クールをDVDの板を3枚も4枚も使って貧乏くさく録画するよりは、ブルーレイ1枚で1クールを入れたほうが管理も楽で気持ち良いんじゃないでしょうか(笑)。少なくとも自分はそうでしたよ。
というわけで、2011年までには、ぼくらは「これからはブルーレイ録画の時代だね!」ということで、ブルーレイレコーダーを購入して自宅で「地デジ録画」をせっせと始めることになりました。
まあここで2011年にピークを迎えた「ブルーレイレコーダー」需要は、それから15年のあいだも需要が増えるわけでもなく衰退し続けて、どうやらそろそろブルーレイのメディアごと滅びるみたいだね…。というのが「正しい歴史認識」でいいと思います。
ここから先も小寺氏の記事は、その理由の分析は外しているのでまったく参考になりませんが、再生メディアとしてもブルーレイが伸び悩んで現在に至るまでDVDがまだ生き残っている、という数字は、そのまま読んでいいと思います。
なんでブルーレイ録画はコケたの?
自分としては、本当はここから先の話、つまり「ブルーレイが録画メディアとして定着せずにコケてしまった理由ですか? そんなもん、欲をかいてDRMをガチガチにかけてコピーワンスみたいなクソみたいな仕様を導入したから、使い勝手が悪すぎてユーザーがそっぽを向いて録画をしなくなっただけの話でしょ!」という話こそをしたかったのですが、ここまでも十分長くなってしまったので、ひとまず話をここで終えようと思います。
(おしまい)(たぶん別記事に続きます)


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