マジック・ザ・ギャザリングのブースターパックが、来年発売の「カルロフ邸殺人事件」からは大きく構成を変えるという話について。
変更の基本情報
まず基本情報はコレ。とりあえずこれは目を通しておいて欲しいです。日本語に訳されているし。
https://mtg-jp.com/reading/mm/0037320
自分の評価
結論から先に書いてしまうと、僕は「まあ、それほどには悪くない変更かな」とは少なくとも現時点では思っております。以下、各論。
ドラフト・ブースターとセット・ブースター
マロ―がごちゃごちゃとデメリットを書いてますけど、現状のここ数年の「ドラフト・ブースター」と「セット・ブースター」の2本立てというのは自分もとても苦しい商品構成だとは思ってましたよ正直。
コレクター・ブースターは別レイヤーの話なので、ここでは除外
理由はマローに言われるまでもなく皆さんもご存知の通りですが、
- そもそも似たような商品が2つあるのが、紛らわしいし煩雑。
- 現状のセット・ブースターをガチのリミテッドで使うのは無理。
- ザ・リストは「リミテでは使わない」でもいいんですが。
- 統率者用のカードも「リミテでは使わない」のが無難
- 「あなたは統治者になる」と書かれているカードを使うと、ただちに「プレイヤーにペナルティなしで毎回追加ドロー」がついて、それを割ったり覆すことがまずできないんで、対戦相手はたぶん即座にゲームを放り出すと思います(笑)。私はそうしました。
- 「コモンとアンコモンの枚数比がパックにより滅茶苦茶に偏ってる」ので、まともなリミテッド用プールにするのは無理。
- 従ってリミテッドを前提にするなら「ドラフト・ブースターは必要」。
- でも「剥いて嬉しいのはセット・ブースター」なのも事実なんですよ。単純にレアとかが入っている可能性が高いんで。
- リミテッドの大会を開かない、またはシーズンを終えた店舗だとドラフト・ブースターは即座に不良在庫になってしまいます。少なくとも「レア取りの開封目的で、セットブースターの在庫があるのにドラフトブースターを敢えて買う」ひとって、たぶん居ないんじゃないかなぁ…。
正直なところコロナの期間中に「リミテッド大会の主催をするのをやめた」自分自身が、ここ何年かは「新弾はとりあえずセット・ブースターを2箱くらい買って剥く」けど「将来のリミテッド大会を開くためにドラフト・ブースターを1箱2箱余分に買って未開封でキープしておく」のやめちゃったんですよね…。まあ懐にそこまで余裕がないというのも理由ですが。
両方とも維持するのは無理だとすれば?
こう考えると、小売りなどからウイザーズに「この二本立てを何とかして欲しい」という突き上げがあったことは正直、想像に難くないんですよ。べつに邪推でもなく。
そして仮にここで「1本化しろ」という命題を解決しなければならないという話になったとすれば、
- パックも売り続けられるし、たぶん利益率もいい「セット・ブースターをやめます」というのは、今さらちょっとあり得ないし、誰も喜ばない。
- しかし単に「ドラフト・ブースターをやめます」だと、それは「新作パックを使ったリミテッドというフォーマット自体をウイザーズが捨てる」ことを意味するので、さすがにあり得ない。
という話になるのも、ほぼ自明なんですよ。
僕は今のマジックの紙の「リミテッド」というのが、どれくらいウイザーズにとって収益性が高いものであるかという数字は持ってないし、もしかしたらウイザーズの中には「剥くためのブースターが売れまくった指輪物語は空前のヒット商品だったし、もうリミテッドとかやらなくていいんじゃね?」とか思っている人もいるのかもしれません(←これはさすがに邪推)が、いずれにせよ「リミテッドを捨てる」という選択は取らなかったということは言えると思います。あるいは「リミテッドを守りたい」が近いのかも。
このように考えれば、開発側が「セット・ブースターを、なんとかリミテッドでも使える商品にしよう」と考えたのは、まったく自然な流れだと思いますので、これが「プレイ・ブースター」の誕生であると思われる以上は、僕はこれに「NO」を言う気はないんですよ…。
プレイ・ブースターは本当にリミテッドを楽しめる商品なのか?
これについては「まあ、ウイザーズがそれを想定して開発するからには、そうなるんでしょう」としか言えません。
もしかしたらそれは、今ぼくらが楽しんでいる「シールド」や「ブースター・ドラフト」とは若干異なるプレイ感になるのかもしれませんが、基本、ぼくらは「利用している殻に合わせて身体を育てる」生物なので…。
ザ・リストや統率者カードがリミテッドで使えるようになるかは、分かりませんし、いまから考えても仕方ないです。
プレイ・ブースターの箱代は上がりますよね?
上がるでしょうね。
- プレイ・ブースターのパック代はセット・ブースターと同程度
- プレイ・ブースターは36パックで1箱になる
であるという情報がすでに出ている以上は。
いまの日本で定価というか「希望小売価格」というのがどれほどの意味を持つのか不明ですが、たとえばAmazonの表記に従えば「イクサランの洞窟」の希望小売価格(?)は
- セット・ブースターは18,808円(30パック)=627円/パック
- ドラフト・ブースターは17,528円(36パック)=487円/パック
らしいので、ここから単純に推定すれば
- プレイ・ブースターは22,570円(36パック)
になるのではないでしょうか。
ただまあ、僕らはご存知のように定価でなんて買わずに店頭では「実売」で買ってますし、まして箱の予約は割引率も高いでしょう。
ひとつの目安は多分「1箱2万円」かな?
まあ基本、僕らにできるのは購入ご予算を増やすことだけなんじゃないでしょうかね…。
リミテッドのプレイ代は上がりますよね?
まあ、たぶん上がるでしょうね。
身内でもない限り、プレイ代は使用するパック以外の賞品なども加味するしそもそも「店舗大会なら卸値で入手」しているんでその要素も大きいのですが「シールド6パック」「ブースタードラフト3パック」は動きませんので、ベースコストは単純に
- シールド:2,922円→3,762円
- ブースター・ドラフト:1,461円→1,881円
になりますね。ざっくり「シールド1000円値上げ」「ドラフト500円値上げ」は動かないと想定しておけば良いのではないでしょうか。
しかしまあ、店が必要なだけ払えばいいんじゃないでしょうか。
結論:カネなら出すからさ
僕は最近のウイザーズのマジック商法は、絵違い枠違いの乱発や(コレブにしか入っていないという)何とかフォイルみたいなのは心底くだらねぇと思ってますし、ハッキリ言ってアレを露骨に見せつけられると「自分としてはかなり醒める」んですけど、でも「3万円のコレブ箱を買って、トップレアの何とかフォイルが出れば10万円だぜヒャッハー!」という気持ちになる人の気持ちも理解できるんですよ。そもそもトレーディングカードは最初から「くじ」の要素はあるし「当たりくじのあるくじのほうが嬉しい」のは間違いない事実なんで。僕はやらないけど自分のカネで買う人を否定はしない。
まあ「ポケモンみたいになっとらんで良かった」とは思ってるけど(笑)。
閑話休題。でもそれはそれとして、マジック・ザ・ギャザリングが「最高のゲーム」だっていうのは自分にとっては何も変わっていないし、まあ、僕が生きている間くらいはこのまま続いて欲しい(笑)と思ってるんですけど、いずれにせよ「プレイするのにそのカネが必要なら払うから」としか言いようがないんですよ(限度はあるにせよ)。
何よりも大事なのは「カネを払う必要がある」ことじゃなくて「その出したカネに見合うだけの楽しさと満足を得られる」かどうかなんで、そこはひとつウイザーズさんには引き続き頑張ってちゃんとした製品を作り続けて欲しいんだけど(もちろん儲けていいのよ)としか言えないのです。
結論としては「今回の変更は悪くない」という話になるんですが、これは別にウイザーズに阿っているわけでも綺麗ごとを言ってるつもりでもないので、これを以てこのテキストを終えたいと思います。
(おしまい)
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