次のゲームマーケット2026年春で、ゲームマーケット参加を休止します

タイトルの通りの内容ですが、いささか書くべき「振り返り」ポイントをまとめます。

 

結論

これは「ゲームマーケット」のカタログに掲載されるカットでも明記したことですが(この記事のヘッダ画像)、次のゲームマーケット春(2026/5/23(土))で、Origins研究会はゲームマーケットへのブース参加を休止します。いずれ復活の可能性もないでもないので「やめます」ではないですが。

重要:あくまでも「ゲームマーケットでのブース参加を休止します」なので、Origins研究会の活動をやめるわけではないです。基本、このサイト(ここ)で、細々とIon Game Design(IGD)の新作の通販は続けるでしょうし、気がむいたらマニュアルの翻訳もしてつけます。

基本的には、次の2つの理由が主因です。

 

主因1:円安

書くまでもないと思うんですけど、さすがにこの円安がもう個人輸入をするにはキツ過ぎ。そもそも2008年に「Origins研究会」を設立した頃は1ドルが100円くらいでした。

そもそも会を作るきっかけになったPhil Eklundの「Origins: How we became human」なんて、あんなでかい箱のボドゲでもバカスカ段ボール単位で数個ずつ輸入して、その送料コミでも確か1個6千円とかそこらで売れたんですよね…まあこちらが利益を乗せないボランティア価格だからだったとは言え、別に赤字で売ったわけではなかった筈。

そして後年のPhil Eklundの「High Frontier」初版は、あのコンパクトなBookCaseサイズだったとはいえ、20個くらい入った段ボールの中の本体を1個5千円で出して飛ぶように売れたのもいい思い出でした。まあ正直いまなら「そりゃ、あれがあの値段なら売れるわ…」ではあるのですが。

まあ、当時のSierra Madre GamesはPhil Eklundがアリゾナの自宅でやっているような個人会社だったので、ゲームの単価自体も安かったんですけどね。

そして今はドルは160円を伺う勢い。率直に言って輸入ゲームの値段も軽く倍にはなりましたし、単価も普通に上がっています。

円安のため単価が上がるのは仕方ないし、たとえ以前の倍であろうともそれを理解している方には買って貰えるものの、一見さんへのハードルは跳ね上がりますし、在庫リスクも跳ね上がるので、以前のように気軽に多めに発注して並べるのが単純に困難になりました。

 

主因2:ゲムマ参加費の高騰

加えて、ゲームマーケットが大規模になるにつれ、その参加費は高騰傾向にあります。まあ仕方ないんですけどね。

確か15年前の浅草の頃は、たぶんスペース1万円くらいだと思ったのですが、いまは普通に「机1個・試遊台なし」コースで24200円(税込)。

コミケで売る同人誌もそうですが、この手のイベントは「自分が一般参加者としても会場で楽しみたい」要素もあるので、あまりサークル参加費だの交通費だのを頒布物の「コスト」に加えるつもりはないんですが(=そんなことをやったら100部程度の同人誌の値段が高くなりすぎて売り物にならないからです)、さすがに2万円超となると「イベント参加自体が有意義で1日楽しめたのでプライスレス」と考えるのも厳しめの状況です。

事実として1日出店すると1個1万円以上のゲームもそこそこ出てくれるようになり、ゲームマーケットでのイベント終了時には売り上げの何万円もの現金が手元に残るので、気を良くしてあまり考えないようにはしているのですが、そもそも仕入れにも安くないおカネをかけているし自宅から会場への毎回の宅配便も馬鹿にならないしで、もしかしたら真面目にコスト計算をしたら実はすでに赤字になっている可能性も否定できません。

ちなみに未開封ゲームの売れていない在庫については、もちろん自分の自宅に何年でも段ボールに入れて山積みにしているだけです。まともな会社の業務であればこの保管費用の倉庫代とかも含めたコスト計算として、それも売値に反映させるものですが、それをやると完全にコスト割れになるのは明らかなので目をつぶっています。

このような理由から「もうわざわざゲムマで頑張って売らなくても、自宅での通販のみにしてもいいかな…」と何年も前から思っていました。

以上2つが「もうゲムマに出かけてまで、わざわざ売らなくていいかな」の主因です。

 

そのほかの要因

これらは主因ではないのですが、このほかにも「まだ個人輸入を辞める予定はないんだけど、もう規模を大幅縮小して通販で細々と売るだけでいいかな…」と思える要素はここ何年も色々ありましたので、ここではそれも述べておきたいと思います。

 

Phil EklundのIGD入り

もとはアリゾナで個人で細々とゲームを作っていたドイツ出身のPhil Eklund(=Sierra Madre Games)が、どうも色々あったらしいのですが(詮索しませんよ…)10年以上前にUSAを引き払ってスウェーデンに移住してION Game Designに入り、同社所属のゲームデザイナーとして新作を発表するようになりました。これは同社の首席デザイナーであるJon Mankerとのコラボも含めて色々と良い効果も産みましたし、息子のMatt Eklundもしっかりしたコンポーネントのゲームを発表できるようになったのは紛れもなく意義のあることでしょう。

もともとSierra Madre Gamesのゲームは、Originsは例外的にきっちりしたコンポーネントだったんですが、基本は厚紙に印刷した駒をハサミでじょきじょき切って遊ぶようなものばかり(20世紀では普通)だったんですよね…まあ、だからこそ安価だったわけですが。

ただPhil Eklundは非常に凝り性のため(そこがいいんですが)、同じゲームをいつまでもバックグラウンドのファクトに基づいた調整をかけ続けてなかなか新作がリリースできなかったり発売後も頻繁に拡張カードセットを出したりもしたので、新作リリースは大幅に年単位で遅れたりするのも普通。

加えて、これはIGD自体の問題ではあるのですが、2020年のコロナ禍で中国の工場が稼働を停止していつまでも新作が出なかったり代わりの業者を探したりといったことも手伝って、IGDの新作スケジュールは現在に至るまでここ何年もさっぱりあてにならないものになっています。

これは経営層であるJon Mankerによるおそらくは会社を潰さないための配慮だと思いますが、どう考えても今もまともに作っているとは思えない新作群を「発売予定」とスケジュールに入れ「予約受付」をして注文を集めるという詐欺みたいなことをやっているという話もあります。さすがに今はもう自分もこれらを「発注」はしませんけどね(数年前にIGDにおカネを払った買掛残がいまもあります…)。

まあ正直なところ「IGDに倒産されるよりマシ」と割り切って適当に新作や在庫をオーダーして資金を送っている側面もありますが。

つまりPhil Eklundの新作を含めたIGDの新作ゲームを計画的にゲムマ合わせで予約購入して会場に並べる、というのは「単純に無理」な状態が何年も続いています。

 

あんた誰のIGDデザイナー

これも「IGDの経営上の問題」と言えなくもないのですが、近年、IGDはJon MankerとPhil Eklund(およびMatt Eklund)以外のデザイナーの作品も手広くリリースするようになりました。僕はもとより本来は「Phil Eklundのゲームを日本に紹介したくてOrigin研究会を興した」ようなものですが、にしても別に他のデザイナーの作品はいらない、というわけでもなくそれらも購入して日本語訳をつけて並べるようにもなりました。

Phil EklundおよびMatt Eklund作品などについては基本「N村さん和訳おねがい」の状態になりましたが。

実際、Jon Mankerの作品の多くは僕ごのみの仕上がりのものが多いし、「訳して良かった」と思える面白ゲームのほうが多いのですが、その反面「これはちょっとPhil Eklundから入った人には財布を開くには厳し過ぎるスカスカのファミリーゲームだな」みたいな作品や「さすがにこのテーマの作品を日本で売るのは厳し過ぎる」みたいな作品もありました。まあ「IGDのゲームには全部日本語をつける」みたいな方針は数年前から放棄してはいるのですが。

いずれにせよコレも「とりあえずIGDの新作は見込みで多めに発注してゲムマにいち早く訳をつけて並べる」みたいなことは無理ゲーになってきたのですね。いまは基本、1個か2個は新作はIGDから予約購入して、届いたら自分のぶんとして1個を開封して訳したうえで、行けそうな感触があったならゲムマ向けにIGDに発注、というパターンにしています。ただ、発注してから3か月はかかるのが普通なので、いずれにせよゲムマ合わせの計画的な発注と頒布はムリになりました。

 

KickStarterでIGDの新作を買う層

数年前から、IGDはあらかじめ新製品の予約を何年か前からKickStarterのプロジェクトとしてプレッジを募るようになりました。これもIGDの経営事情も絡んでいそうなのですが、とりあえずまとまった現金を発売前に確保したい思惑は感じられたものの、出る見込みのない作品のプレッジを募るような詐欺みたいなことはやっておらず、発売こそ著しく遅延するものの、基本的にはいずれはプレッジした方のもとに新作ゲームが届く方式として機能しています。

そして早期購入特典だとも言えますが、このKickStarterによる購入は実際に発売される時よりも大幅にディスカウントされた価格で購入が可能になります。正直なところ発売後にウチで買うよりも安く入手できるので、しばしば「出たら買うと決めているものなら、これは僕をあてにせずに自分でIGDにプレッジ予約してしまうのも大いにアリだと思います」と勧めてもいます。とりわけ「日本語訳はN村氏のサイトからダウンロードすればいいやと思えるPhil Eklundの新作」などは。

で、ここで数年前に大失敗してしまった自分。これはPhil Eklundの「Bios Mesofauna」(2022)がリリースされたときのことなんですが、自分は「まあウチの看板Phil Eklundの最新作だし、値段も高くないので20個や30個入れても余裕で売れてくれるでしょ」と思って発注したものの、蓋を開けたらゲームマーケットの会場でも通販でもぜんぜん売れてくれなくて真っ青になりました。

まあBios Mesofaunaは、確かにPhil Eklundの「サイエンス・リサーチに基づいたいつものヤツ」だったんですけど、ただテーマ的にはちょっとワクワクするのが難しいな、というか、その、という要素もあったのですが。

ぼくら「4億5千万年前の太古の地球で、地上の覇権を生物種たちが争っていた。環境に適応進化して恐竜となれる覇者はどの生物種か?」(Bios Megafaunaのことです)とか聞かされればそこそこワクワクできると思うのですが「実は同じ時代に、その足元の水辺では昆虫と節足動物とが小さな覇権を争っていました」とか言われても、その、ね…。

ただ問題の本質はゲームの内容ではなく、これは「もともと昔からPhil Eklund作品が好きでウチに足を運んで指名買いしてくれたマニアの方々であれば、IGDのプレッジで自分のぶん1個を買うのはとても自然なこと。それはウチとしてもウェルカム」なのですが、ただしその直接の結果としてその人はウチで買う必要がないよね」という単純な事実を見落としていたわけです(笑)。気がつけよ俺。

というわけで、現在もなお、Bios Mesofaunaは我が家の倉庫に大量在庫が残っております。どうしようコレ…赤字価格で半額にすれば興味のない人にも売れるというものでもないし…いやまあ、いいんですけど。

 

そういうわけで

といった事情などで、見込み発注でIGDに新作を発注して並べるのも、なかなか難しい状況になってきたなという次第です。

とりあえず、自分自身で遊ぶ新作が1個は欲しいというのもあるので、今後も引き続き、IGDから新作をKickStarterや卸値で予約発注してから、発売後に実物を手に取って「いけるかな?」という感触のあるものは和訳も作りつつ追加で数個IGDに発注してそれを希望者に通販で売る、というのはぜんぜん負担ではないので今後も細々と続けるつもりなんですけど、ただ「ゲームマーケットに半年に1回出て計画的に多めに発注しつつ売る」のは厳しい状況だよねと判断するに至ったので、この春でゲームマーケットに参加するのはひとまず止めよう、という結論に至りました。

従って、この5月を最後として今年の秋からはもうゲームマーケットには申し込みませんし、ゲームマーケットのサイトの「Origins研究会」は必然的に閉めることになりますが、一応このブログ(ここ)で新作と在庫を並べて通販を受け付けて在庫のあるものは売る、というのは続ける予定ですので、ぜひご興味のある方は引き続きのブックマークとご愛好のほどをお願いいたします。

(おしまい)


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