前から考えていたことなのですが、この秋のゲームマーケットを機に、「Origins研究会」でのIDG(ION Game Design)のゲーム類の発注と在庫管理の方法を変更することにします。
結論から先に
従来はIGDに対しての新作などは「発売前に多めに見込み発注で予約」していたのですが、これをやめて今後は「見込み発注の予約は数量を絞る」「完売したものについては追加注文を個別に受け付けてIGDに再発注」することにします。
詳細な理由を知りたい方は、ここから先をお読みください。
これまでのやり方
- 自分がIDGに対して、新作や在庫を適当な個数、自分の好みと読みで発注する。
- IDGのKickStarterも、基本的には1口をプレッジして「自分のぶん」を購入する。
- IDGから現物が届いたら、注文時の円ドルレートや、関税などの計算も含めて、そのゲームにかかったコストをどんぶり勘定で計算して、1個あたりの値段を決めてつける。
- 「たぶん損をしてないよな…」という程度に上乗せして値段をつけていますが、もしかしたら厳密にコストを計算したら損をしているかもしれません。少なくともまともな商業ショップならやっているような「倉庫の保管代」「人件費」などをコストに入れたら間違いなく赤字です。
- みなさまが「自分でIGDに発注する」よりは安上がりに済む値段で提供できている筈です(次の項も参照)。
- その値段にもとづいて、ゲームマーケット会場、または通販で頒布しています。
なぜこの値段で売ることが可能だったのか
隠す気もないのですが、過去の実績から、自分がIGDから「リテール(代理店)」扱いをされているためです。これはIGDのサイトの公開情報なので書いてしまいますけど
- 基本、IGDのサイトの価格の「4割引き」で1点から購入できる。やったね!
- 一度の注文でIGDに「2000ドル以上」の発注を行うことで「送料無料」になる(数年前は1000ドル以上でした…)。
という特典つきで今でも購入できています。
このため、みなさまが自分でIGDに注文すると送料込みで1万円を超えてしまうようなボードゲームでも、自分は赤字にもならずに5千円とかで提供することが可能だったわけです。これがなんの秘密もない事実です。
ただ先にも述べたように、もしかしたら「保管料」「ゲームマーケットの参加費」「ゲームマーケット会場への往復の宅配料」などを真面目にコスト計算したら「実は売っても赤字だった」みたいな可能性はあるのですが、考えないことにします(笑)。
なぜこの方法を見直すのか
端的に言えば、やはり円安がキツイのが直接の理由です。もともと自分が浅草のゲームマーケットで「Origins研究会」を始めた頃は1ドル80円だったよな…というのはおいておくにしても(笑)、みなさまご存じのように、ついこの間まで100-120円だったドルがいまは150円を超えてしまいました。下がる見込みも薄そうです。
もちろんこちらとしては、それ自体はゲームの値段に直接反映させていただくのですが、ここで問題になるのは「不良在庫」つまりIGDから多めに購入したものの、思ったほど売れずに自宅に在庫として保管してあるゲームの扱いですね。単純にそれらのコストが5割増しになり、これは購入に必要なコストと損金が5割増しになることを意味します。
このため「とりあえずこれくらいは売れてくれるかな?」という思惑で発売前に多めに発注したものが、売れ残ったときのダメージが半端でなくなりました。
加えて、先に述べた条件での「IGDからの送料を無料にするために2000ドル以上にして発注しよう」というのもかなり重荷になりました。
何しろこれは単純に「まず30万円ぶんを注文しろ」という話になるわけです(笑)。
そしてこれが「2000ドルを超えるように、過去に多めに発注」した一因でもあるわけですが、これが思惑通りに全部売れてくれれば良いものの、売れなければ…。
実のところ数年前に発注した
Dawn of TITANとか一部のタイトルには、売れる見込みもないのがまだ自宅に20個以上残っているものもあるので、これが部屋にあるのを今見るとかなり頭痛がします。もういっそ半額セールとかで出したほうがいいかもしれない話ですが、それでも売れるかどうかも定かでもなく。
あと、これは何年か前のことですが、過去に「ウチに来る常連のみんなが大好きなPhil Eklundの最新作なら、20個以上入れても余裕でしょ!」と思って大量に発注したBios Mesofauna新作がぜんぜん売れなくて真っ青になって、今でも大量に残っているということもありました。
これについては、あとで気がついたのですが、ウチでPhil Eklund作品のリピーターを10年以上やっているような熱心な固定ファンであれば、おそらくいまのIGDのKickStarterで自分のぶんの1個は購入しているということです(KickStarter購入は割引率も大きいので自分もお勧めしています)。和訳はN村氏が公開しているわけですし。なのでそのような方がさらに改めて1個をウチで購入されることは、まあ、ないでしょう。
もちろんKickStarterにまでは手を出さなかった方や、Phil Eklundの固定ファンでもない方が、会場で手に取って興味を持っていただいてその場でお求めいただくことも普通ですが、このへんBios Mesofaunaは割と題材がかなり地味で一見さんに面白さを伝えるのが難しかったりするので(笑)。
加えて、このもう1つの負の影響として「注文したくなるヤツが2000ドルを超えるまで次のIGDへの発注は控える」みたいなこともここ何年かやっていたのですが、この結果として「うっかり新作のIGDのアクセサリーなどを発注し損ねた」「要望があったものの発注を見送っているうちにIGD本国で品切れになってしまった」という事態が発生してしまいました。
「Pax Hispanicaのデラックス版が欲しい、入れてくれれば買います!」と具体的に強くご要望を頂いていた常連の方への注文を見送っているうちに、どうやらIGDでデラックス版は品切れ絶版になってしまったようです。これについては、かなり申し訳なく思っています…。
これについては「IGDは発売予定をぜんぜん守らないし、あてにならない」みたいな要素もあるので、大量発注に加えたものが実際にはいつ発売されて到着するのかさっぱり読めない、みたいな話もあるので、そういうのをIGDへの「予約注文」に入れてしまうとIGDへの何年もの前の買掛残がどんどん積みあがってしまう、みたいな部分もあります。
一括大量注文したものの「リストのコレとコレは受け取ったけど数年前に注文をした今も未発売のコレはまだ受け取っていないので締められない」みたいな話も普通にあって、IGDへの過去の注文リストはかなりカオスです。外部の方には見せませんけど(笑)。
あと実のところ、これはIGDから「送料無料」で発注しているのが理由かもしれませんが、IGDがあまりこまめに(送料あちら全額負担の)日本への発送を行ってくれていないのではないか?疑惑も実はあります。邪推かもしれませんが。何度も催促してやっと発送してくれるようなことも割とあります。まあ、これは単に向こうの東南アジアへの配送システムが不安定なだけかもしれません。
そういうわけで、色々な意味で「送料無料にすべく2000ドルを超えるようにIGDに一括発注」というのは「もう無理だな」という結論を出すことにしました。これが今回「システムの見直し」をすることにした主因です。
具体的にどのようにやり方を変更するのか
基本、今後は「2000ドルを超えるように注文をためて一括発注」はやめます。そうすれば上記の問題のほとんどは消えて、こまめに動けるようになるでしょう。今後の発注は、予約新作のもの以外では、IGDで現在本当に発売中と思われるものだけを個別に注文します。
ただしこれは同時に「IGDからの送料が無料でなくなる」ことを意味しますので、この分はもちろん、個々のゲームに乗せる必要が出てきます。すなわちそのぶん個々のゲームの単価を上げることになると思います。
基本的には、1個あたりの値段を決める際にIGDのサイトで「自分で1個カートに入れて決済の前まで進んで日本への送料込みの価格を確かめた」うえで、その値段を参考にしつつ円換算で値段を決めることにしようと思います。当然ながら重量級のゲームほどより送料相当の値段がかかる傾向になることが予想されます。
逆に軽量級も、仮に1個だけ頼むならば本体が$10であっても送料が$30かかるようなことになるので、従来は2000円で売れたものが6000円かかるようなこともあります…こちらとしてもつらいです。
このへんはまとめ注文があれば再計算するようにしようと思いますが。
同時にもうあまり過剰な「不良在庫」を抱えたくないので、新作の初動の発注点数を絞ります。具体的に言えば、これまでは新作については「とりあえず5~10個くらい発注」していたものを「とりあえず1~5個くらい発注」し、代わりに「売れたものはただちに追加発注」を細かくやることにしようと思います。
このため今後は、新作などが会場で「売り切れ」になる可能性は上がると思いますが、これは今後は「追加注文を引き受ける」形で対応する予定です。
具体的には、ゲムマの会場やネットでは、計算済の新価格を示したうえで連絡先などを伺ったうえでその方への注文を引き受けてからIGDに発注し、何か月か後にそれがIGDから到着したらそれを通販でご案内のうえで実際のお支払いをいただいたうえでお送りする、ということにしたいと思います。現時点ではひやかしやキャンセルは想定しておりませんので内金は預からない方向にしたいと思います(こちらとしても金銭の管理が面倒になってしまうので)。
この方式は今回のゲムマの後から、アナウンスの上で適用する予定です。
以上、ご理解のうえで、ご利用いただければと思います。

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